食塩の過剰摂取は高血圧や動脈硬化の危険因子で、減塩は健康に良いことは分かっています。でも、食塩を減らすと食べ物がおいしくなくなり、減塩はとても難しいものです。カリウムでナトリウムを代用したり、酸味で薄味をごまかしたり減塩の工夫はありますが、あまり広く普及していません。
そもそも人が食塩をおいしく感じる仕組みについては、医学が進歩した現代においても謎のままでした。ところが昨年、舌の味蕾(みらい)とよばれる味覚センサーの中に「塩味」を感じる細胞が確認され、そこで塩味情報が変換され、脳へ伝わる仕組みが解明されました。この塩をおいしく感じる仕組みを応用すれば、食塩ではないのに塩と同じ味がする製品や塩味を感じさせる技術の開発につながるかもしれません。すでに販売されている砂糖ではないのに砂糖の味がする製品みたいに。今のところ人工塩味料は存在しないので、次回は簡単減塩調理法についてご紹介いたします。