院長コラム

小野院長が不定期に更新するコラムです。診療内容の解説や健康維持のアドバイスなどをお届けします。

膀胱炎の話ー予防ー

 「膀胱炎は一度なるとくせになる」と聞かれた方もいるかと思います。

 膀胱炎をくり返すのには、他の病気がひそんでいることもありますが、原因となる生活習慣がある場合もあります。

 膀胱炎の予防としては

●膀胱内に細菌を入れない

●膀胱内で細菌を増やさない

●からだの抵抗力を下げない

 が大事になります。

 

・水分をとりましょう:

 水分をとって、尿量を増やすことで膀胱にたまっている時間を短くできます。

・我慢しないようにしましょう:

 尿がながくとどまることで、細菌が膀胱内で繁殖しやすくなります。

・温泉、プールにはいった後、すぐに排尿しましょう:

 身体に付着し尿道に侵入する細菌が多くなります。あがった後にすみやかに排尿することで、細菌を流し出す効果があります。

・排便時は前から後ろにふきましょう:

 後ろから前にふくと、排便後の肛門周囲に付着する細菌が尿道口付近に付着する可能性があるためです。ウオッシュレットを排便時に効果的に使用することも、細菌量を減らす意味で効果があります。

・性交渉した後、トイレへいきましょう:

 性交渉により尿道に細菌が侵入しやすくなります。侵入した場合でも排尿することで、細菌を流し出すことが可能です。

・腰回りを冷やさないようにしましょう:

 女性の場合、ホルモンの低下や冷えによって、膀胱炎をくり返す場合があります。

 

 全てのことをいつもきにする必要はありませんが、「膀胱炎をくり返している」という方で、あてはまることがある場合には参考にしていただければと思います。

 3回にわたり膀胱炎についてお話させていただきましたが、「膀胱炎かな」と思ったら、悩まずに一度、泌尿器科を受診してください。

膀胱炎の話ー診断と治療ー

 膀胱炎を疑う場合には、尿検査をおこないます。排尿開始時の尿は、出口(尿道口といいます)付近の細菌や白血球が混じりますので、途中の尿(中間尿)をとっていただきます。尿中に一定数の白血球、細菌が確認されれば膀胱炎の診断となります。また原因となっている菌を調べるための培養検査(尿培養)をおこないます。

 治療には抗生物質を用います。3日ほど使用すると症状は改善しますが、再燃する場合もあり、医師の指示通りの期間服用するようにしてください。膀胱内に尿が長く留まると、細菌が繁殖しやすくなるので、十分に水分をとり、こまめにトイレにいくことが大切です。

 薬を飲み終わったら受診をして、膀胱炎が完全に治っているかを確認してください。症状がよくならず、尿検査の所見が改善しない場合には、背景となる病気が隠れていることがあります。膀胱癌、膀胱結石、男性ですと前立腺肥大症が潜んでいる可能性があります。その場合でも超音波検査など身体に負担のかからない検査からすすめていきます。

 また、尿培養をおこなうことで、使用した抗生剤と細菌との相性を調べています。処方された抗生物質の相性が悪い(効かない)場合には、培養検査の結果で相性が良い(効果がある)抗生物質に変更することがあります。最近は耐性菌という抗生剤への抵抗力が強くなり、薬への耐性をもった細菌が現れています。培養検査の結果を確認し、的確な種類と期間の抗生物質の使用がますます重要となってきています。

おしっこ(尿)の色

 尿の観察をするときに一番変化に気がつくのは“色”ではないでしょうか。

 「尿は健康のバロメーター」とも言われているように、色の異常で重大な病気がわかる場合があります。

 健康な尿の色はうすい黄色~うすい黄褐色と変化に富みます。

 これは、血液を分解した代謝物の色で、常に一定量が尿中に排泄されます。

 水分を多く摂取したときなど、体内の水分量が多い場合には色がうすくなります。逆に、起床時、スポーツや発熱した時には、少し濃い色の尿がでます。

 また、尿の色は食事、飲んでいる薬(ビタミン剤、抗生剤)によっても変化します。

 

 その中でも、受診をすすめする尿の色の異常は、

・白色(混濁):尿路感染症(腎盂腎炎、膀胱炎)のときにみられます。

・濃い茶褐色:肝機能障害で尿の中にビリルビンが混じるときにみられます。

・赤色(ピンク):尿に赤血球が混じる、血尿と言われる状態です。尿路結石症、尿路感染症、尿路腫瘍(特に膀胱腫瘍)が考えられます。

 

 尿の色調で気になることがありましたら、重大な疾患が隠れている可能性もありますので、泌尿器科での検査をおすすめします。

 

膀胱炎の話ー膀胱炎は女性に多いのはなぜ?ー

 膀胱炎とは主に細菌が原因となって、膀胱粘膜に炎症をおこす病気です。

 膀胱炎が発症すると、排尿終末時痛(おしっこの終わりや終わったあとで痛みがでる)、残尿感、頻尿、尿意切迫感(急におしっこがしたくなる)といった症状が出現します。

 性別には差があり、女性が圧倒的に多く、女性は生涯に2人に1人は経験すると言われています。

 ではなぜ、女性に膀胱炎が多いのでしょうか?

 その理由は尿道の長さにあります。尿道は膀胱からおしっこの出口(尿道口)までをつなぐ管です。男性は18-20cmほどの長さがありますが、女性は3-4cmと短く、細菌が膀胱内に尿道を伝って到達しやすくなっています。また多数の細菌が繁殖している肛門や、膣が尿道口に近いこともその原因となっています。排便や性交渉などによって細菌が侵入しやすくなります。

 次回は膀胱炎の診断と治療についてお話させていただきます。

おしっこ(尿)のにおい

 おしっこ(尿)のにおいがきになることはありませんか?

 通常、排尿直後の尿はわずかなにおいしかありません。尿を放置しておくと“つん”とした刺激臭がします。これは細菌の力により尿中の「尿素」が分解されて「アンモニア」になるためです。

 起床時やスポーツ後、水分不足で尿が濃い時にも、尿のにおいが強くなりやすくなります。また、排尿直前の飲食内容も影響をうけます。香辛料やコーヒー、ニンニクを食べた後に同じにおいがするのは、ほとんどの場合問題ありません。

 排尿直後からの刺激臭は、尿の通り道に細菌感染(膀胱炎、尿道炎)をおこしている可能性があります。また、甘ったるいにおいがする場合には、糖尿病の疑いがありますので、病院で尿検査を受けることが望ましいと考えます。