できればやせたい。医者からカロリーを抑えるように言われている。いろいろな理由で食品のカロリーを気にすることがあるのではないでしょうか。
しかし、こう考えたことはありますか。食べても体に吸収されなかったものは、やがて糞便として排泄されます。その排泄された分のカロリーは、表示されているカロリーから差し引くことができるのではないかと。
糞便1グラムあたり約2〜3キロカロリーと言われます。仮に100グラムのうんちをすれば最大300キロカロリーを表示カロリーから差し引くことができる計算になります。しかし、残念なことにこの考え方は問違っているそうです。現在の食品表示は、糞尿として排泄されるエネルギーを差し引いたエネルギーが記載されているのです。表示カロリーからうんちのカロリーを差し引いてはいけないのです。
ただ、食品表示も真の摂食カロリーではないとされます。食品表示には、食材の吸収に必要なエネルギーが考慮されておらず、例えばたんぱく質を吸収するには約30%、炭水化物は10%、脂肪は2%のエネルギーを必要とします。つまりたんぱく質は100キロカロリー摂取しても70キロカロリーしか吸収できないのです。これ以外にも食物繊維の摂取量や腸内細菌叢(腸内フローラ)の状態、年齢、アルコールなど体に蓄えられないエネルギーといった、さまざまな要因により摂食カロリーは変わるそうです。 それでは、カロリー表示は役に立たないものなのか。決してそのようなことはありません。年齢や性別に見合ったカロリー表示に基づく食事制限は、健康寿命を長くすることが分かっています。カロリー表示は、よく見るようにすると良いようです。