病院で検査を受けた時にもらう検査結果に基準値が表示されていることがあります。この基準値に照らし合わせて自分の検査結果が正常かどうか判断している方も多いと思います。しかし、基準値だけでは正しい判断ができないこともあるので注意が必要です。
基準値は、病気のない健常人の検査値を集計し、その平均値を中心にして全体の%の人が含まれるように範囲を設定したものです。そしてここが重要なのですが、この範囲に含まれなかった5%の人たちも全員が健常人だということ。すなわち基準値から外れても直ちに異常とは言えないのです。また基準値は40~60歳代の健常人の検査値をもとに集計しているため、若年者や高齢者では病気ではないのに基準から外れたり、その逆の場合もあるのです。それでは、検査結果はどう見ればよいのか。基準値との比較も無駄ではありません。実際に基準値から外れた場合に病気である可能性は高くなります。これに加えて確認しておきたいのは、検査結果の経年変化です。貧血の数値が常に基準値を下回っていたとしても、他に病気もなく数値が長年変化しない場合は、95%から外れた健常人の可能性が高くなります。これとは逆に、例えば腎臓機能の数値が常に基準範囲の人でも、検査をするたびに腎臓機能低下が進んでいる場合は、すでに病気が始まっている可能性も考えられます。
基準値は大切な指標ですが、必ずしも正常値を示すものではありません。かかりつけ医の説明をよく聞いて自分の検査値を正しく理解しましょう。