青いぽすと掲載コラム

青いぽすと2023.12.22号 冬バテって?

 冬バテという体調不良を表す用語があるそうです。夏には暑さと冷房による温度差のため、交感神経と副交感神経の制御がうまくゆかず食欲低下、倦怠感など夏バテ症状を来します。では、冬バテとは?

冬の寒さは、活動時や緊張時に働く交感神経を刺激します。冬は、忘年会、クリスマス、大晦日、お正月、新年会と行事も目白押し。ますます交感神経が刺激され体はいつも緊張状態。休息時に働く副交感神経が作動する暇はなく、疲労、だるさ、頭痛、イライラ、筋肉のコリがつのります。これが冬バテ。

冬バテから身を守るには副交感神経の働きを高めることが必要。体を温め服装対策などで急な冷えを予防しましょう。適度な運動で体を動かし食事はなるべく規則正しく。冬バテせず元気に新年を迎えましょう。今年も一年みなさまに感謝。

青いぽすと2023.11.24号 冬の鼻水、赤い鼻

 寒さが一段と厳しくなってきました。家を出て職場へ向かって歩いていると、鼻水が垂れてきます。風邪でもないのに出てくる鼻水。これは冬の寒さから体を守る大切な仕組みと言われています。冷たい空気を吸うと鼻の毛細血管は拡張し、血流量が増えて鼻は温まり同時に鼻水が増えます。寒いと鼻が赤くなるのもそのためです。この仕組みのおかげで鼻から入った冬の冷気は暖められ、そして冬の乾燥した空気は加湿され肺へ送られるのです。

寒暖差が大きい時に鼻水のみならず鼻がムズムズしたりくしゃみが出たりアレルギーのような症状をもたらす寒暖差アレルギー(血管運動性鼻炎)なる病気もあります。自立神経のバランスの乱れが一因とされます。症状が強く耐えがたい場合には医療機関への相談もすすめられます。

青いぽすと2023.10.27号 みかんを食べて手が黄色に

 店先にたくさんの冬みかんが並ぶ季節になりました。みかんは食べすぎると手が黄色くなると言われます。都市伝説のひとつのような気もしますが実際にはどうなのか。子どもの頃にみかんを多量に食べたら確かに手のひらが黄色くなったような記憶があります。実は、みかんを食べると黄色くなるというのは本当のこと。みかんに含まれる色素が脂肪に蓄積され肌が黄色く見えるそうです。特に手のひらや足の裏などは脂肪が多いため黄色が目立つわけです。ちなみにこの現象は、柑皮症なる病名がつけられています。となると健康に悪いのか心配になるわけですが、治療は不要で健康を害することはないそうです。黄色くなるのが気になる方は、みかんを食べる量を少し減らせば対策になります。今が旬の冬みかん。楽しく味わいたいですね。

青いぽすと2023.9.29号 ビールはどうして多量に飲めるのか

 今年の夏は暑かった。いや暑すぎた。こんな夏には仕事の後のビールが旨い。今年もたくさん飲みました。それにしてもどうしてビールは一度に多量に飲めるのか。水やジュースなら1リットルを一気に飲むのはきついもの。利尿作用があるからか。しかしそれならお茶やコーヒーだって飲めるはず。お酒だからか。しかし、ビールは高々アルコール5%。 95%は水です。

実は、ビールはガストリンというホルモンの分泌を増やす作用があるそうです。ガストリンは、胃の入り口の動きを抑え胃の出口の動きを良くすることで胃の内容を早く小腸へ押し流す作用があります。すぐに胃は空になりビールがどんどん飲める訳です。ビールと一緒に食事を摂ると、これもどんどん小腸に送り出し胃は空となりいくらでも食べちゃいます。飲みすぎ食べすぎ注意。と自分に言い聞かせる毎日。

青いぽすと2023.8.18号 食中毒

「ぶどう売る 美貌のサルも カエル大」

医療をまだ知らない医学生時代に食中毒の原因菌とその潜伏期間を覚えるのに利用した暗記法です。

【当日発症】 ①黄色ブドウ球菌(おにぎり) ②ウェルシュ菌(カレー・シチュー)

【翌日発症】 ③ビブリオ(魚) ④ボツリヌス(飯寿司) ⑤サルモネラ(卵)

【2 日以降】 ⑥カンピロバクター(鶏) ⑦エルシニア(乳製品・豚) ⑧大腸菌

 しかし、これを覚えて安心するのは医学生のみ。まだまだ暑い日が続きます。本当に安心するには、食中毒予防の3原則「付けない、増やさない、やっつける」を覚えましょう。手洗いや食器、調理器具の洗浄により菌を付けない。菌を増やさないよう食材は適切な温度で保存し調理後は速やかに食べる。十分加熱し菌をやっつける。詳しくは、厚生労働省ホームページもご参照ください。

青いぽすと2023.7.28号 熱中症予防としての塩分摂取

 暑くて汗をかいた時は塩分補充をしましょう。暑い時期によく聞くフレーズです。ところが、専門医はこれを危険視しています。汗をかいた時の水分補給は重要ですが、汗に含まれる塩分はそれほど多くないため多少の汗なら塩分をとる必要は全くないそうです。日本人の1日平均食塩摂取量は10gほど。世界保健機関が推奨しているのは1日5gです。すでに10gの食塩をとっている人が、更に梅干しなど塩分の多いものをとれば食塩過多となり高血圧や脳梗塞、心筋梗塞など病気になる危険性が高くなります。炎天下の肉体労働で短時間に何リットルもの汗をかく場合や食事を十分にとれないご高齢者では適切な塩分摂取は必要ですが、普通の生活や軽い運動くらいでは、塩分摂取の必要はありません。

青いぽすと2023.6.30号 健康診断のデメリット

 何だか不穏な空気ただよう話題です。果たして健診にデメリットなどあるのか。

 健康診断の精度は100%ではなく異常が見落とされる可能性が潜んでいます。検査結果によっては、その後に本来は不必要な追加検査が必要になることや精神的負担が生じることもあります。例えば、尿潜血は健康な人でも陽性となることがあります。尿潜血を指摘された後に追加検査をしても結局異常がないことは多く、受診までの間ずっと不安だったという話も耳にします。まさしく健診のデメリット。

 しかし、健診は病気の早期発見につながります。自身の健康状態を把握し生活習慣の改善にも役立ちます。尿潜血を指摘されたおかげで早期癌が見つかる人、肝臓の酵素が上がってきたからお酒を減らした私。デメリットはあるけどメリットが上回っているようです。

青いぽすと2023.5.26号 夢の記憶の是非

 自分の見た夢を毎日文章にして残しています。現実の自分を遥かに超越した発想や神秘の世界が繰り広げられる夢。現実の生活を送る上で貴重なアイデア集になると考え続けていました。ところが夢の記録の効能について調べてみると、いくつかの危険を伴うこともあると知りました。

 夢の記録は、「夢日記」と言うそうです。夢日記を書き続けると夢と現実の区別がつかなくなったり、過去のトラウマを追体験したり、睡眠が浅くなったり、気持ちが落ち込んだり。不眠気味の人や落ち込んでいる時はしない方が良いそうです。しかし一方で、明晰夢(夢の中で夢と自覚できる夢)を見られるようになる可能性があります。夢を操ったり夢の中で五感を感じることができたり。

 夢の記録は自己責任でお願いします。

青いぽすと2023.4.28号 大人の塩分制限

 先月は、子どもの塩分制限の必要性についてご紹介しました。今月は大人です。大人は動脈硬化の進行、心臓機能、腎臓機能の低下も加わってくるため塩分制限は不可欠です。健康意識の高まりから最近は塩分を気にする人がとても増えています。ところがこんな報告があります。高血圧疾患者を対象にした研究で、塩分制限を意識している人たちと何も意識していない人たちの1日食塩摂取量(尿中食塩排泄量から計算)を比較すると1日1gほどしか差がなかったというもの。

 男性は1日食塩7.5g未満、女性は6.5g未満、高血圧症や腎臓病では6g未満が目標とされています。「減塩をしているつもり」だけでは到達できている人はあまりいません。食品表示なども参考にしながら正しく効率的な管理をしたいものです。

青いぽすと2023.3.31号 子どもの塩分制限

 成人では、健康に配慮して塩分制限を意識している人がいると思いますが、子どもではどうでしょう。子どもが自ら塩分を制限することはあまりないと思います。そもそも子どもに塩分制限は必要なのでしょうか。

 子どもは、塩分を多くとっても極端に血圧が上がったりむくみが出たり直ちに健康を害することはありません。しかし、新生児期に減塩ミルクを与えた場合、成長後の血圧が低く抑えられたという報告があります。乳児期に作られた味覚が、その後の味の嗜好を決めることも知られています。小児期から減塩を意識した食生活環境を整えてあげることは、その子の成人以降の健康維持に役立つのです。大人も子どもも減塩で健康な毎日。

青いぽすと2023.2.24号 ウイルスは生き物?

 新型コロナ騒動で3年間も社会生活が制限されてきました。毎年冬になるとインフルエンザの流行も繰り返されます。誰もが経験する風邪もウイルスで引き起こされます。ウイルスとは何なのでしょう? そもそもウイルスは生き物なのでしょうか?

 ウイルスは核酸という遺伝情報がたんぱく質の殻で包まれたものです。外界との境界が明確な有機物であり増殖が可能ですがエネルギーを使い代謝を行わないため狭義には生き物ではありません。宿主に入り込み宿主細胞の仕組みを勝手に使い増殖し、時に人体に様々な障害を引き起こすウイルス。それは多種多様で大昔から存在し、おそらく今後も人類とともに永久に存在し続けるもの。新型コロナもそのひとつにすぎません。社会生活を犠牲にすることなく上手につき合いたいものです。